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機材基本 Equipment
撮影の次元と機材
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撮影の次元
撮影の次元を4つに分類します。
1)1次元:主観
2)2次元:客観
3)3次元:超客観
4)4次元:バードアイ
なぜ分けるかというと、すべて「感情、思想、撮り方」が違うからです
1)1次元:主観
自分の目の前に相手がいる場合を想像します。
「自分の目」を再現するという考え方。
主観なので、自分(カメラ)は揺れてます。
つまり、ハンディー系で撮影するべき次元。三脚はありえません
ブレ、フォーカスの移動もアリで、効果的に見えます
おそらくレンズは50〜85mmで、Fは2あたり。
2)2次元:客観
事件は、近くの友達のところで起こってます。
ハンディでも良いが、たいして揺れません。
ハンディ、三脚、クレーン、でも良いでしょう。
ただ、固定(Fix)は寂しすぎるのでNG。
主人公は画面センターではなく、少し横にいるでしょう。
手前に別のレイヤーがあるかもしれないです。
レンズは24〜35mmなど、Fは「しっかり見てない」なら浅め
3)3次元:超客観
自分はその場所にいない。監視カメラ的なニュアンスです。
ハンディではなく、三脚、ドリー、スライダー、クレーンなど固定系。
人間的なカメラワーク(パン、ティルトなど)はNG
主人公がセンターにいる必要すらない。
手前に別のレイヤーがある可能性は高く、
ピントすらあってない可能性もあります。
Fは高め(f=4〜8あたり)、レンズは16〜35mmなどか
200mmなどで遠くから狙うのも良さそう
4)4次元:バードアイ
ドローンの思考です。
非常に絵画的で、2次元っぽい超客観です。
パンなどの動きは制限され、デザインを重視します。
近年TVなどで、パン、ティルトなどの人間的な動き「ドローンを主観的」で
使用しているのを見ますが
「撮影次元」を分けてない撮影なので、参考になりません。
機材特性と、ポイント
機材は自由に使って良いと思いますが、基本となる思想はあります。
その中で「パンの弧」を紹介します。
パンの弧(ラディアス)
パン運動の中心からカメラまでの距離で思想が変わります
「三脚」
パンの弧(ラディアス)=0m
カメラマンの存在を感じる動き
1次元、2次元での使用
「ジンバル」
パンの弧(ラディアス)=0m〜浮遊系
カメラマンの存在を感じる動きにもなり、客観的にもなる
2次元、3次元、4次元での使用
ただし、自分を軸にまわると、通常のパンになり
カメラマンの存在がバレるので注意
「スライダー」
パンの弧(ラディアス)=なし
カメラは平行に移動するため、パンの動きは無い
カメラマンの存在はなく、超客観的になる
3次元、4次元での使用
「レール」
パンの弧(ラディアス)=微妙
カメラマンがパン可能(弧0m)なため、用途がゆるい。
ライブなどで「回り込み」としての利用が多く
人工的だが、パン弧はおおきい。
有効な機材だが、作品映像的には思想がブレやすい。
3次元、4次元での使用が適正と思うが。
「クレーン」
パンの弧(ラディアス)=10mなど
カメラは回転移動するが、人工的に感じない
カメラマンの存在はなく、客観的になる
2次元、3次元、での使用が多い
ここで重要なのは
「どんな映像が撮れるか」ではなく
「カメラマンの存在の量」をコントロールし、
「どんな次元、思想、意思、感情を映像に入れるか」が重要
「動かす事」を最初に考えるのは「動かさないと怖い」カメラ心理です。
(「07_カメラワークの秘密」参照)
次元の目的が先に設定されていれば、機材を的確に選択、コントロールできます
後記
次元を設定していないカメラマンの映像は編集ですぐにわかります。
(動かす理由を持っていない)
見たいのは「主人公・被写体」であって、「カメラマンの存在感」では無い
それを勘違いした映像は、すぐ分かる。
いっそのこと、動かさない(超客観)の映像の方が利用価値があります。